全世界中のデザイン入門者に大人気のCanvaに買収されたAffinityにどんな未来があるのでしょうか。
2022年にバージョン2がリリースされたAffinity。
自分的にはスルーのバージョンとなりました。
Affinity(アフィニティ)はイギリスのノッティンガム近くに拠点を置く新進気鋭のソフトウェアメーカー。
Adobe(アドビ)のPhotoshop、Illustrator、InDesignの3つに真っ向勝負を挑んでいます。
なのでAdobe Premierのような映像編集ソフトウェアはAffinityにはありません。
iOS用アプリを突破口にしたAffinity
MacやWindowsのパソコンでは、まだまだAdobeのシェアを奪えるはずもない状況。
ですが、iOSでは形勢逆転になったAffinity。
iOSでの本格的な制作をする人はまだまだ少ないとはいえ、その状況をAdobeが黙って見ていられなかったようで、iOS用の本格グラフィックアプリのリリースを目指しているとの噂があります。 ※追記2020.02 iPad版フォトショップリリース開始されました!
Adobeはパソコンとタブレットの差別化から、iOSだけで完結できる本格的グラフィックアプリのリリースを避けていました。
Android用でももちろん同様。
あくまでもパソコンがメインと捉え、タブレットはそれをサポートするデバイスと見ていた。
無料の制作補助的なアプリばかりをリリースしていたAdobe。
しかし以前、こんな事実があります。
iPadが登場して間もない頃、1000円買切りライセンスの画像編集ソフトがAdobeからリリース。
iOS用でほぼPhotoshop的な「PS Touch(ピーエス・タッチ)」。
しかしこのアプリをリリースしていた過去を知る人は少ないでしょう。
その頃はパソコン版Photoshopが買切り数万円の時代だったので1000円で買えるiOS用Photoshopはとても安く感じられた。
App Storeで即購入しiPhone、iPadのiOS上でPhotoshop操作の再現を試していました。
しかしその後、Adobeのパソコン版はCreative Suite(買切り版)からAdobe Creative Cloudへの変貌。
月額・年額サブスクリプションへ移行、そしてiOS11になった時、PS Touchの開発サポートを終了。
PS touchはAppStoreから姿を消し、無かった事に。
この「PS Touch」は今でもiPhoneに残してあるんですが、起動はしません。
iOSアップデートで起動不可なアプリの残骸スクリーンショットがこちら。
そして2018年現在。
AdobeがiOS用本格グラフィックから退くことに反比例するように開発を推し進めてきたAffinity PhotoとAffinity Designer。
パソコン用ではAdobeが月契約サブスクリプションになった事で、買い切り数千円のパソコン版Affinity PhotoとAffinity Designerが一気に注目される事になります。
これでパソコン環境においても形勢逆転Affinityがユーザー数を増やすことができるのでしょうか。
初動はどこも買い切りでスタートする
Adobeは20年以上に渡って長らく買い切りライセンスでした。
しかしCS6のリリースで買い切りライセンスを終了。
以後はCreative Cloud版の月・年契約のみに移行しました。
また海外のウェブ制作現場では、Mac用のsketchというソフトが買い切り数千円で台頭してきましたが、シェアが増えたところで買い切りから年間契約に切り替わりました。
最初は買い切りでとにかく安くし、できるだけ多くの人に使ってもらう。
また少々高くても、複数台のマシンへインストールすることを黙認し、とにかくユーザーを広める・・・。
そして良さが伝わり、ユーザーが増え、その制作環境が無くてはならない状況になったとふんだら、ライセンスを買い切りから月契約や年間契約のライセンスに変えて収益の安定化を図る。
今ではどこのソフトウェアメーカーでも、あの手やこの手で似たようなロードマップをベースに開発している状況が散見されます。
Affinity PhotoとAffinity Designerの現状
そんなアプリの動向から、登場して間もないAffinityの現状は、安く多くの人に広める時期といえます。
買い切りでApple Store購入ならログインしたマックに5台までインストールできる状況。
そしてユーザーがある数に達した時、ライセンスが買い切りから月契約・年間契約に切り替わる。
そして切り替わるタイミングに、魅力的な機能を盛り込んでサブスクリプションへアップグレードをしないと新しい機能が使えなくなる。
Affinityは現在3種アプリがあるので、それを2までハイブリッドOSインストール可能で初年度8980円、2年目以降の更新料月々1480円…という設定だったらどうでしょうか。
今後を見据えて選択する
ソフトウェアメーカーの思惑を十分理解した上で、Adobeを使い続けるのか、Affinityへ鞍替えするか、双方を比べ見極めていく必要があります。
また一からAffinityのアプリ・ソフトウェアの使い方を学習してまでもAdobeからAffinityに変える価値と信頼があるか。
まとめ 日本語フォントの扱いに長けているか
英語圏であればAffinityのほうがトータル(金額面・機能面のバランスを見て)勝っていると、言える状況があるかもしれません。
しかし、ここ日本においてはまだまだそのような状況と言えません。※2023年12月追記
日本語はアルファベット・約物に加えて、漢字・ひらがな・カタカナなど、他国では見ない様々なフォーマットを有した言語の一つです。
そんな日本語をベースとしたフォントの扱いにAffinityのアプリがどれだけ長けているか?と聞かれたら、まだまだ道半ばといったところでしょう。
Adobeが20年以上かけて日本のユーザーボイスを拾い進化させてきたイラストレーターと比較すると、Affinityが同じように日本語フォントをしっかり使いこなせるようなアプリに仕上がるまで、まだ多くの時間がかかるでしょう。
はたまたそこ(日本語対応)を本気でサポートする気概がAffinityに有るか否か、まだ分かりません。
そしてその使い方を同じく20年以上かけて覚えてきた先輩ユーザーたちが、後輩世代に伝える手段をAdobeからAffinityに変えるまで、どれ位の時間を要するのか。果たしてそんな事(AdobeからAffinityへの業界標準移行)ができるのか?
印刷に絡まないWEBなど電子媒体を主戦場としている英語圏若い世代の制作環境であれば、Affinityでも十分という状況があるかもしれません。
Affinityは追加できるプラグインが魅力的で、個人ユースとしてはAffinityのアプリもMAC、Windowsへインストール、挙動の違いを楽しみつつ、今後の動向を見守りたいと思います。
追伸 Affinity Publisher ベータ版リリース
登録していたので、新しいソフトウェアのお知らせがメールで届きました。
Affinity Punisher(処分者)ではなく、Publisher(パブリッシャー)をそのまま訳すと、出版社とか発行者。
Affinity Publisherの機能をメールで拝読すると、ウェブ(対Dreamweaver)にも、動画にも(対Premier)、印刷はページ物(対InDesign)でも対処できるというニュアンス。
でも実際はインデザインの対抗馬。
ベータ版は英語版だけのようですが、気になるので早速Downloadしてみます。
追伸 Affinityは日本語縦組みを本気で扱う気があるか
サポートへ問い合わせメールをしてみました。
日本語入力で縦書きをサポートする気があるのか?
現状ベクターグラフィックソフトでまともな日本語の縦組みができるのはマクロメディア フリーハンド亡き後、アドビ イラストレーターのみです。
CorelDRAWで縦組みが可能ですが、使いやすさや細かい部分の詰めなどイラストレーター同様にできるかというと難しい状況でしょう。
Affinityへ縦書きサポートについての問い合わせメールを出してまだ数日なので、どのような返信がくるのか、またはスルーされるのか、また追ってご報告いたします。
追伸 Affinityから返信が来ました
そのまま掲載、英文です。
Hi Jajam(ここだけ変えてます),
Thanks for your email.
I'd suggest checking out the 10 day trial from here:
https://affinity.serif.com/designer/trialWe don't currently have a vertical method for Japanese text, other than pressing return after each character but i understand that might not be suited to Japanese text. We do have this logged with the Dev team, so hopefully it will be something they can added in a future version.
Thanks
Gareth
Affinity
以下、クロームでそのまま翻訳内容
メールありがとう。
ここから10日間のトライアルをチェックアウトすることをお勧めします。
https://affinity.serif.com/designer/trial各文字の後でリターンキーを押す以外に、現在日本語テキストの垂直方法はありませんが、日本語テキストには適していない可能性があることを私は理解しています。これは開発チームに記録されているので、将来のバージョンで追加できるようになることを願っています。
ありがとう
ガレス
親和性
ほうほう、Affinityとは親和性。いったい何と親和性が?ガレス。
で、将来のバージョン(今1.7なので、2.0以降)で縦組みが追加できることを願う?祈る?叶う?って、他人事かよって思える言い回しですが、機械翻訳なのでもっと別なニュアンスなんでしょうね。
いずれにしても日本でAffinityがAdobeの替わりとなる日は、まだまだ長い道のりが待っているようです。
追伸 個人ユースでは使い方次第でアフィニティもあり
個人でアフィニティを使い、自身で使い方を学び、日本語の縦組みにこだわることがなければ、使い方次第でアフィニティもありでしょう。
横組だけでPDF保存されたイラストレーターのファイルなど、Affinity Designerで開くと、そのまま編集ができ起動もイラストレーターより全然速いので、ちょっとした直しなどでは重宝しそうです。
パスを自由自在に扱うという点においては、イラストレーターと作法も機能も違うので、その点は改めてアフィニティ向けのスキルを習得する必要がありますが、日本ではそのようなマニュアルがまだまだ少ないのが実情です。
追伸2022.11 Ver.2リリース
期待薄では有りましたが縦組みは実現されませんでした。
そして何より残念なのは、Ver1からのアップグレード購入が無いこと。
これはユーザー心理を全く理解していないメーカーのよくある愚断(ぐだん)。
Ver1のライセンスを持っていてもVer2へのアップグレードは、新規購入と変わらない金額。
Version1を購入したユーザーは無視。
新しいバージョンに期待をして体験版触れてみましたが購入はスルーしました。
メーカーとしては40%オフの大盤振る舞いでバージョン2を提供しているんだから、十分安くなっています、ということでしょうが、今までバージョン1を使ってきたユーザーとしては多少の違いでもいいのでアップグレード設定があれば気持ち的に大きく購入へ傾いたのに、と思ってしまいます。
新規購入40%オフなら、それに対してアップグレード45%オフとか、僅かな違いでも、継続購入する側にとっては、購入するに値すると思えるものです。
アップグレード設定があれば次回数年後のアップグレードも継続的に購入することを前向きに検討できましたが、都度新規購入という設定で気持ちが大きく離れました。
しれっとアップグレード開始していましたが、様子見ます ※2023-04-22 追記
以前メールでの問い合わせの時は、V2出たばかりで発売記念価格だったこともあり、アップグレードはない、という返答でしたが、新しいブラシ販売のメールでサイトへ飛ぶと、しれっとアップグレード販売がなされていました。
とはいえ、V2販売記念価格よりかなり高くなっているので、急ぎで必要ないですし、一旦様子を見ていきます。
追伸2023.11、2023年のブラックフラーデーでV2導入
1年かけてV1ユーザーが導入検討できる金額設定になったので、導入してみました。
これから徐々にイラストレーターとの違いなど、改めてレニューしてまいります。