CS6がリリースされて時間が経過し、いろいろな方がレビューしている通り、素敵で魅力的な側面が見えてきました。
トレースソフト色々~有料、無料~
トレースをするという作業。これはイコール、切り抜きをする作業ともいえます。今ではフォトショップで背景透過にしただけのファイルでも入稿が可能になりましたが、その昔配置画像がEPS形式一択だった時代では、パスで切り抜きをするのが当たり前でした。
DTPの現場では無くてはならない切り抜き作業スキルの効率化を図れるトレースソフトのご紹介。
無料で高精度なトレースが簡単にできるココアポトレース
MacがOSXになってからは、トレースをする場合はココアポトレースばかり使っていました。
イラストレーターのトレースが優秀になった今でも、その軽快さが素晴らしくまだまだ現役で活躍中です。
なにせ、無料で過去の有料トレースソフト同等か、それ以上のトレースがドラッグするだけで出来てしまうのですから。
ココアポトレースはMac版のみですが、Windows版で同等のトレースができるソフトがあります。
今もって最強かもしれない「Tracer(トレーサー)1.5J」(MacOS9)
MacOS9の時は、実に様々なトレースソフトが乱立していました。
トレーサー、イカルストレースマスター、さらには今も使えるイラストレーターのサードパーティープラグインソフトでPRISM TRACEなどなど…があります。
海外で最もポピュラーなトレースソフトは、あのディズニーも使っているというベクターマジックなのかもしれません。
上記はベクターマジックのサイトイメージ。
Tracerは1990年台のソフトで、かなり古いトレース専用ソフト。しかしこの精度が素晴らしく、今もって最強かもしれないと思えるほど。
MacOS9でしか起動出来ないソフトですが、どんなアルゴリズムでトレースしているのか?そしてそれは何処かに継承されているのか?とっても気になるトレースソフトです。
最強に使いにくいがトレース精度は一二を争う「イカルストレースマスター」
インターフェイス、使い方手順など、マックユーザーには操作性の全てが最低に思えてしまうトレース専用ソフト。
Tracerはに比べるとバランスに欠けるところがあるように感じるものの、そのトレース精度はピカイチで、トレースする内容次第では右に出るものはないかもしれません。
ほかAdobeのサードパーティソフトなど
ちなみにサードパーティーソフトはAdobeのサイトでも色々紹介されています。
こんなにあったんですね。→ Illustratorのサードパーティ製のプラグイン
これだけサードパーティが出ていると、そことの共存関係もあるのかななんて思ってしまいますが、需要の大きな機能は初めから搭載しておいて欲しいところ。
余談ですがサードパーティのプラグインで最強は、今もって大日本スクリーンがリリースしてくれた「詰め上手」だと思いますが、これは文字の調整には最高の環境を提供してくれていたのに、消え去ってしまいました…。
「詰め上手」ヤフオクで5万(当時と変わらない価格)で売られていました。
装飾系のプラグインとしてはKTP ベクターワークスがやはり最高。
Adobeのトーレスの歴史
Adobeでも以前はトレースに特化したソフトがありました。
Adobe Streamline 4J(Mac/Win)
アドビのソフトでトレースといえば、ストリームライン。トレースに特化したソフトで、カラーの画像はそのままカラーのパスデータにも出来ます。
しかしこのストリームライン、美しいパスでトレースすることは全く出来ず、 ラフでも問題ないようなイラストのパス化など、限った用途でしか使えませんでした。
そしてバージョン4までで開発は終了。Windows版もありましたが、MacOSではバージョン9の時代までで、OSXではクラシック環境がないと使えなくなりました。
Adobe Illustratorで復活したStreamline
時を経てIllustratorCS2で搭載されたライブトレース機能。開発が終わったStreamlineを彷彿される機能がIllustratorに搭載されたことは、非常に嬉しい出来事でした。
しかし、ストリームラインと同程度の精度でしかトレースできず、ペンツールで切り抜き作業をするような精度でパスを描く用途として使えるものではありませんでした。
Adobe Illustrator CS6で目を見張る進化の「画像トレース」
イラストレーターCS6に搭載されたのが「画像トレース」機能。
最初は単にライブトレースという名称が変わっただけかと思っていましたが、試しにトレースをして、その内容の進化に驚愕しました。
これは、正確で美しいパスのトレースという点でも、実にすばらしいできばえです。
まとめと感想
フリーのベクター系描画ソフト「インクスコープ」でもポトレース(ココアポトレースのコアプログラム)を取り込んで美しいトレースができるわけで、CS6の進化は当然の事かもしれません。
欧米ではアドビよりもコーレルのユーザーが多いなどと聞いたり、新たなベクターソフトがどんどん出てきて、日本で業界標準、不動の地位にあるIllustratorでも、国によってその存在が脅かされている側面があるようです。
インターフェイスがブラック基調で見た目も刷新されたイラストレーターCS6。
次期バージョンCS7?(CS7はなく、Creative CloudでCCになった)をみすえつつ(そんな余裕はあるかどうかわかりませんが…)、出来る限りのことはしました・・・といった好印象。
CS5までのユーザーと新しいCS6ユーザーの差。
トレース精度がよくなったことだけとっても、表現力、クオリティUP、作業効率UPなど、これは意外に大きな差かもしれません。